カタリナさんの場合

 私が幼い頃父が他界し、母が仕事をし、姉が家の事を全部任されました。
兄弟で家事を分担していましたが、私は身体障害者なので健常者とは違って出来ない事があります。
 しかし、姉はそれを許しませんでした。掃除をするとわざと細かいことろをチェックして、「あんた障害者なのにこんな事も出来ないなら最低の人間、世の中に出て行けないよ」と言い、小学校3年生で初めて作った夕飯は下手くそとゴミ箱に捨てられ作り直し、ご飯を炊く時も時間をはかり、わざと「遅い、お米が減ってる、あんた、こぼしたでしょ馬鹿最低」とののしりました。
 家事を一生懸命しても姉は必ず文句を言い、「障害者なのにこれも出来ない、あんた甘えてる最低の人間」と毎日ののしられ、食事中など、少しでもこぼすと、「行儀が悪い」とビンタされ、何か少しでも私がミスすると、土下座させられ、ひどい時は玄関を出て、外で人目があるのに裸足で土下座させされる事もありました。とても子供ながらに傷つきました。
 毎日何をすると怒られるのか殴られるのか分からないので、毎日ビクビクする子供になっていました。姉はさらに「ビクビクするなイラつく」とビンタされました。
 毎日家に帰るのが嫌で、本気で姉を殺そうと思っていました。
 殴られるのはいいですけど、一番辛いのが、「障害者なのに何も出来ない」と言われる事でした。
 毎日「最低の人間」と言われてるので、本気で自分は最低の人間と思ってましたし、自分に自信が無く、自分の生まれつきの病気も辛くて早く死にたいと小学生の時から大学生になるまで思っていました。
 自分が障害者でいる事をとても恥じ、自分は馬鹿で最低なんかじゃないと証明するために、勉強を人の何倍も頑張り、良い大学に入り、良い就職先に就職し、いつも姉を見返そうと思っていました。
 社会人になっても自分は馬鹿で最低と思っているので、仕事で失敗するたび、やっぱり姉が言ったとおり、自分は最低なんだ!と思いとても怖くなりました。
 そしてうつ病になりました。
 カウンセリングを受けていくと、今までいじめられていた忘れかけていた記憶が全部戻り、姉に対する怒りでいっぱいになりました。
 カウンセリングの医師は幼い頃のストレスがうつ病の原因で仕事はそのキッカケでうつ病が出てきたと言われました。
 私は姉を許しませんでした、姉を実家に呼び、小学生から中学生まで姉が結婚し家を出るまでの事を、細かくあの時こうされた、ああされたと姉に言い、「謝れ!」と私はキレました。
 姉は覚えてないけど、そんな事を言ったのなら本当にごめんと謝ってくれました。しかし9年間もそんな苦しい生活をしてきたのに、ごめんですまない!と私は憤慨し、「9年間私の前から消えろ、出したら殺す、お前の大事な子供から殺してやる」といって今では姉とは音信不通になってしましました。
 うつ病がよくなり姉に言いすぎたすまないと謝りましたが、姉は何も言わず泣いていました。それから姉は私には会いません。
 幼い頃から最低の人間と思い、障害者である自分が恥ずかしいと考えるようになり、自分は何も出来ないと自信がない大人になってしまいました。
 誰かが幼い私を褒め、抱きしめてくれたらこんな人生にはならなかったのでは?とうつ病の時は思えて、姉が憎くて仕方ありませんでした。
 今は、昔こんな事もあったけど、姉も家の事全部任され、貧しく、遊びたい盛りに遊べなくて、ストレスでああなった、あの頃の家の環境が悪かったんだと姉を許しています。
 これが私の体験です。
 私の病気は遺伝病なので、私の子供が同じ病気になる可能性があります。でも同じ病気になろうと、自分に自信が持てるように、この子が出来る事は褒めてあげて、障害など人間各自個性があるように、皆違うものだから、人間違って当たり前だから、心配はいらないよ。と教えてあげるつもりです。