テレジアさんの場合

 私が4~5才の時の事。母親が目を離したわずかな隙に、見ず知らずの男性に連れていかれました。何をされたか、とぎれとぎれですけど、ハッキリと覚えています。事がおわったのち、開放されたのが不思議なくらいです。
 あのまま、殺されていたかもしれません。
 泣きながら家に帰り着き、婦人科で、処置されたのも覚えています。
 誰にも言えませんでした。親友にも。
 母には忘れたフリをしています。この事で一番辛かったのは、おそらく母だと思うから。私が覚えていることを知ったら、きっと自分を責めるに違いないと思うのです。
 幼稚園、小学校、と進んでも、私は母と離れられない子供でした。
 無意識に離れると、何か起こるのではないかと思っていたのかもしれません。
 思春期にはいり、その頃から自分がキライで、自己嫌悪、自責の念に常にさいなまれるようになりました。その頃から鬱の傾向があったのかもしれません。
 男性に恐怖感があり、現在、普通に結婚して子供を生んだのが不思議なくらいです。
 現在も鬱で通院しています。フラッシュバックや、パニック発作にも襲われます。
 消えたいきもちや、自己嫌悪でいっぱいの毎日です。TVで似た事件が報道されると怒りと、パニックと、悲しみにおそわれます。
 私が心から笑える日は来るのでしょうか。その日を信じたい。でも、今は真っ暗な闇の中です。