復職時の注意点 |
わたし(NOPPO)は、大手電子部品メーカーの若手管理職として、新規事業に抜擢されたものの、その4年後、仕事の激務と心労が原因でこの病気になりました。
1度の復職失敗を挟み、約2年間休職を取り、復職して、今年(2005年)の4月で復職後丸2年になりました。
現在休職中で、復職を目指していらっしゃる方の参考になればと思い、私の体験談、それに基づいた私の考える復職についてのその時々の注意点について書かせてもらいます。
項目 |
私の考える正しい判断、注意点 |
私の体験談 |
復職失敗 |
・休職中は、仕事の事は一切忘れて治療に専念するべきです。 ・一番「焦り」は禁物です。 ・復職直後は、心身を慣らすことに重点を置き、決して無理をしてはいけません。 |
・私は、早く仕事に復帰しなければと焦っていました。 ・1度目の復職時は、以前のようにバリバリ仕事をしようと、いきなり残業を始めました。 ・今考えると、そのときの私には、まだ復職は早すぎであり、無謀な行為だったのだと思います。 結局、2ヶ月でまた休職するはめになりました。 |
復職のタイミング |
・まず、医師の許可が必要です。 ・そして一番大事なことは、自分自身の自分自身に対する許可が必要だと言う事です。 (冷静に、直近の1ヶ月前からの自分の心身の状態を確認して、少なくとも4H、出来れば8Hの勤務に耐えられる状態になっているかどうか考えてみて判断してください。) ・自分自身が難しいと思えば、医師の許可が出ていても少し延期する方が賢明だと思います。 |
・2度目の復職の際、医師は、十分復職に耐えられる状態に回復していると太鼓判を押してくれました。 ・私自身、1度目の復職失敗の際、病気になった大きな原因である職場の異動を申し出ており、会社もその方向で準備してくれていましたので気持ちも気楽でした。 ・心身とも、約3ヶ月以上好調で(服薬はしていましたが)今度は大丈夫だと言う確かな自信がありました。 |
復職初期の注意点 |
・リハビリ出勤制度がある会社の方は、ぜひこの制度をうまく利用してください。 出来れば、まず1日2〜4時間勤務から始めてください。 仕事をするのではなく、会社に慣れるために「会社に行くこと」を目的にするつもりで。 1〜3ヶ月ほど様子を見て大丈夫そうなら、8H勤務に変更してください。 (勿論残業は無しです。) ・リハビリ出勤制度がない会社の方も、私のように会社と話し合って、急に8H勤務をすることは避けるようにして出来れば半日勤務から始めるようにしてください。 ・会社に理解がなく8H勤務から始めざるを得ない方は、とにかく「真面目に仕事をしない」で下さい。 自己最優先主義に徹して、絶対無理をしないで下さい。 少しでも調子が悪いと思えば、ためらわずに会社を休んでください。 |
・当時、私の会社には、リハビリ出勤と言う制度はありませんでした。(私の一件で、もうすぐ私の会社でもリハビリ出勤制度が出来そうですが。)*1 ・産業医と新しい職場となる部署の上司である役員と私の3人で復職の方法を相談しました。 その結果、正式な復職は、ひとまず横に置いておいて、3ヶ月間、自社の子会社に勤務し、問題なければ正式に復職することとしました。(子会社での勤務内容は、特に具体的な業務は与えられず、最初の2ヶ月は半日勤務、残りの1ヶ月は8時間勤務としました。) ・無事3ヶ月を過ごし、産業医の許可を得て 正式に復職しました。 (1回目の復職失敗を振り返ってみると、明らかに失敗するべくして失敗したのだと今は思います。復職への焦り、そしていきなりの無理な勤務。例えば陸上の選手が足を複雑骨折して、治療を続けやっとギブスが取れ、足が何とか動くようになった状態でいきなり試合に出て全力疾走するのと同じことをしたようなものですから。) |
復職安定期に入るまで |
・とにかく少なくとも8H勤務を始めて3ヶ月は残業や出張はしないで下さい。 ・また、例え調子がいいからといって服薬中の方は、無理な減薬はしないでください。 |
・正式な復職に入ってからは、8H勤務を厳守しました。 忙しい職場でしたが、構わず私は6ヶ月間残業はしませんでした。 ・この頃、とても調子が良かったので医師と相談してかなり大幅な減薬をしたのですが、これが大失敗で、調子が戻るまで3ヶ月かかりました。 |
復職安定期に入ってから |
・とにかく規則正しい生活を守るようにしてください。 ・「調子がちょっとおかしいな」と思う事があったら決して無理をせず休養を取ってください。 |
・ひたすら規則正しい生活を繰り返しています。(今の私は、6時の起床、1時間の早出、1時間の残業、23時の就眠を測ったように繰り返しています。) ・休日は、極力休養に当てるようにしています。 |
病気をする前の私のモットーは、「納期厳守」「猪突猛進」「明日に仕事は残さない」でした。
今の私のモットーは「健康第一」「のんびり、ゆっくり」「無理はしない」です。
「もう10年早くこのことに気づいていたら」と思う事があります。
ですが、結局はこの病気がこれを気づかせてくれたのだと思います。
きっと、この病気にならなければ「過労死」していたことはまず間違いないでしょう。
(医師からも断言されました。)
この病気になった事をマイナスに考えないで、絶えず希望を持って、焦らず、復職され、新しい人生を
皆さんがうまく始められる事を祈っています。
追記
*1 私の会社のリハビリ出勤制度(案)について
3月末に人事部長が、原案を作成して、全社会議で報告しました。
概略は、長期休暇から復職する人のために、最初は1.5Hの勤務から始め、4H、8Hと勤務時間
を増やしていき、心身を慣らしていくと言う内容で、それぞれの期間は、本人と会社と産業医が相談してリハビリ計画を決めると言うものでした。
概略は良いと思ったのですが、条文の中にあった以下の3点に私は異を唱えました。
1)最初の1.5H勤務は10:30〜12:00とする。
2)リハビリ計画は、決めたら原則変更できない。
3)リハビリ期間中は、極力出張はさせない。
私は、人事部長に「あなたは、この病気になっていないので無理は無いが上記の3点については修正するべきだと言いました。
1)については、「うつ病」の人は、朝が辛い人が多い。
1.5H勤務の時間帯は、13:00〜14:30も可能とし、時間帯を選択できるようにすべ
きである。
2)については、人によって計画を立てても、実際やってみなくては判らない部分が多い。
思ったより早く、8H勤務に移行できる場合もあるだろうし、その逆で計画より時間が掛かる場合もあり得る。
リハビリ計画は、本人の状態を見て変更可能とすべきである。
3)については、出張は、色々な意味でかなり本人に負担が伴う。よって、リハビリ期間中は、出張はさせないとすべきである。
本来は、4月11日から実施のはずだったこともあってか、彼は随分不満だったようですが、結局
私のこの意見で現在再検討中とのことです。
早くこの制度を実施してほしいとは思いますが、今後利用される方のためにも適切な「リハビリ出勤
制度」となって欲しいと思っています。